2009/12/09

『生物科学入門 - 代謝・遺伝・恒常性』

生物科学の入門書を書いてみた。

生きているとは何か、ぱっとなかなかつかめないものである。高校の教科書、特に東京書籍の『生物II』はとてもよくできているが、(1)生きていることを前提とした章が多いこと、(2)必要な化合物の構造をいくつか見た方がわかりやすいこと、(3)生命の反応の中心である酵素反応がまだ浅いということで、全容をつかみにくい。一方、大学に入って『ヴォート生化学』『細胞の分子生物学』などの大著で学び始めると、情報のうずに巻き込まれて方向を見失う。その間をうめるのが目的である。

生きているとは何かを、3つのキーワードだけで述べたものである。副題にある代謝と遺伝と恒常性である。代謝は生化学、遺伝は遺伝学や分子生物学、恒常性はタンパク質科学や生物物理に相当する。この指針があると生物学を学びやすくなるはずである。絞り込んで最低限の情報だけにしている。ここがまず売りである。100ページ以下におさえるのに苦労した。もうひとつ、生化学や遺伝学の詳細に立ち入るよりもむしろ、新しい情報をいくつか盛り込んで研究の先端を書いたのも、売りである。

『生物科学入門 - 代謝・遺伝・恒常性』東京化学同人から1600円、99ページである。



2009/11/28

twitter

ツイッターに電子拠点を移してみます。よろしければ、どうぞ。

http://twitter.com/as_expected

しかしツイッターの検索はすごいな。秒単位のレスポンスがそのまま検索できる。もうひとつ、タイムラインに数百人のつぶやきを並べるくらいになると、なんとなく、その場ごとのトピカが共有されるんやろなと思う。種のヒトとして統計的に意味のある数が参加すれば、地球の韻律みたいになるという人もいるようだが、トポス的な見方の方が面白いような。

まずはぼつぼつつぶやいてみます。

ほなー。

2009/11/07

1ミリ右

あっという間に時間が過ぎますな。また今月のエッセイの締め切り2本が気になり出している。「携帯電話」をひとつ分量だけ埋めてみた。

そのあと届いたシュンスケの論文を査読。いまようやく読み終えたところだが投稿できそうだ。酵素機能スイッチをポリマーで実現したもので、応用の可能性はかなり広い。一流誌に投稿してみる予定。

打ち合わせが続く。まずニッポン放送の出演依頼がひとつ。楽しみだが、今回はみっちり予習していこう。関学から恩師が12月にいらっしゃるとのこと、これもまた楽しみなことである。月曜日は共同研究先と新しい仕事の打ち合わせがひとつ、水曜日は企業との打ち合わせ。東工大から美しいデータがひとつ。

そういえばバードコートにデビューした。ホリエモンが絶賛するだけに旨い。焼き鳥とはこうだろう、そう言っているような焼き鳥である。




著書2冊目「工学系のための基礎生物科学」の2回目の校正が始まっている。非常に細かく見て下さっている。ヴォート生化学の第4版の編集と同時にされているそうだ。とても光栄なことである。しかし1ミリ右とか、専門家はすごいもんだと思う。12月に出版予定。



3冊目の著書は「タンパク質溶液学」に決めた。タンパク質そのものの著書は多いが、溶液を主役にした著書はあまりない。「代わる代わる見よ」という松岡正剛の教えどおりに、そっち側から書いてみようと思っている。

各章ごとに、先駆的研究から現在の知見を書く流れにする。序章はもちろんホフマイスターになるのだろう。

タンパク質は水に溶ける。そのとき、水溶液に含まれるイオンの種類によってタンパク質の溶解度が異なる。いまでは当たり前の事実を最初に報告したのは、レーゲンスブルグ大学教授フランツ・ホフマイスター(Franz Hofmeister, 1850-1922)である。

1880年代から90年代にかけて報告された7本の論文は、ドイツの薬理学専門誌"Archiv fuer experimentelle Pathologie und Pharmakologie"に記載されている。ドイツ語で書かれたホフマイスター論の第一報目の論文は、実は、ホフマイスターによって書かれたものではない。このことから物語が始まっている。